「また水いぼが増えた…」「ピンセットで取るの、子どもがかわいそうで…」そんなお声をよく耳にします。
当院では、これまで水いぼの摘除処置(ピンセットで取る方法)を行わず、 mBFクリーム(自費)や漢方薬(ヨクイニン)、経過観察での対応をご案内しており「より積極的に治せる手段があれば」とずっと感じていました。
そのような中、2025年9月に日本で初めて水いぼ(伝染性軟属腫)に承認された塗り薬「ワイキャンス外用液0.71%」(鳥居薬品)が2026年2月に発売されました。今回、当院でも導入を開始しましたので、詳しくご説明します。
※当院では保険算定の観点で6歳以上のみ対応しています。ご注意ください。
そもそも水いぼとは?
水いぼ(伝染性軟属腫)は、伝染性軟属腫ウイルスが皮膚に感染して起こる病気です。主に2〜10歳ごろのお子さんに多く、体幹・わきの下・ひじの内側などに、表面がつるっとした光沢のある小さなブツブツが現れます。
📌 水いぼの特徴
・直径1〜4mm程度の光沢がある丘疹(ブツブツ)が複数できる
・プールやタオルの共有で広がりやすい
・自然に治ることもあるが、半年〜2〜3年かかることがある
・アトピー性皮膚炎があると広がりやすい傾向がある
放置しても自然に治癒することが多い一方で、数が増えたり、掻き壊してとびひになったり、プール参加が制限されることもあります。

ワイキャンスとはどんな薬?
ワイキャンス(一般名:カンタリジン)は、水いぼに直接塗って治す外用液です。有効成分の「カンタリジン」は、ツチハンミョウなどの甲虫が分泌する天然成分を元にした物質で、米国では2023年から使われてきた実績ある成分です。
日本では2025年9月に製造販売承認を取得し、2026年2月9日に発売。水いぼに対して日本で初めて保険適用された塗り薬です。
🧴どうやって効くの?
水いぼ一つひとつに薬液を塗ると、感染した皮膚細胞の結びつきが緩まり、小さな水ぶくれ(水疱)が形成されます。この水ぶくれが、ウイルスに侵された組織を下の健康な皮膚からやさしく引き離し、数日で乾いてかさぶたになり、自然に脱落します。
💡 治療の流れ
① クリニックで医師・看護師が水いぼに塗布(塗布時の痛みはほぼなし)
② 16〜24時間後に、せっけんと水で洗い流す(ご自宅で)
③ 数日後に水ぶくれ→かさぶたになり、自然に脱落
④ 必要に応じて3週間後に再塗布
水ぶくれや赤みが出るのは、薬がきちんと効いているサインです。「副作用」というよりも「効いている証拠」と捉えてください。

これまでの治療法との比較
| 方法 | 痛み | 特徴 |
|---|---|---|
| ワイキャンス(新薬) | ほぼなし | 保険適用。3週間に1回の通院。水ぶくれあり。痒みあり。 |
| ピンセット摘除 | あり(強い) | 即効性あり。麻酔テープを使う施設が多い。 |
| mBFクリーム | なし | 自費治療。自宅での外用。効果に個人差が大きい。 |
| ヨクイニン(漢方) | なし | 保険適用。内服。効果が出るまで時間がかかる。 |
| 経過観察 | なし | 自然軽快を待つ。半年〜3年かかることが一般的。 |
※ お子さんの状態によって最適な方法をご提案します。
ロコクリニック中目黒での運用について
今回ワイキャンスを導入することで、より積極的に・より痛みなく水いぼを治療できる選択肢が加わりました。
- 診察・適応の確認:水いぼの数・大きさ・部位・アトピーの有無などを確認し、ワイキャンスが適切か判断します。
- 院内での塗布処置:医師または看護師が専用アプリケータで水いぼ一つひとつに塗布します。約5分乾燥させます。塗布時の痛みはほとんどありません。
- 翌日のご自宅での洗浄(重要):塗布後16〜24時間以内に、せっけんと水でしっかり洗い流してください。忘れると水ぶくれが深くなることがあります。
- 経過観察 → 必要であれば再塗布:3週間後に再診し、残っている水いぼに再塗布します。多くの場合、数回の処置で改善します。
⚠️ 大切な注意事項
ワイキャンスは劇薬指定のため、院外への処方箋はお出しできません。必ずクリニック内で処置を行います。塗布後16〜24時間後の洗浄は、必ずご自宅で忘れずに行ってください。
当院では保険算定の観点で6歳以上のみ対応しています。受診の際はご注意ください。
よくあるご質問
- 何歳から使えますか?
→2歳以上のお子さんから成人まで使用できます。ただし、当院では保険算定の観点で6歳以上のみ対応しています。ご注意ください。 - 保険は使えますか?
→はい、保険適用です。お子さんの医療費助成(マル子等)も適用されます。詳細は受付にてご確認ください。 - 水ぶくれが出て心配です。
→塗布後数日で水ぶくれが出るのは、薬が正しく効いているサインです。自然に乾いてかさぶたになり剥がれ落ちます。強く触ったり無理に潰したりしないようにしてください。 - プールはいつから入れますか?
→水ぶくれ・かさぶたが完全に乾燥・治癒してからが目安です。学校・保育園の方針にもよりますので、担任の先生にもご確認ください。 - mBFクリームやヨクイニンとの併用は可能ですか?
→状況によって組み合わせることもあります。診察時に現在の治療内容をお伝えください。
おわりに
水いぼは「自然に治る」とはいっても、保護者の皆さんにとって「いつ治るの?」「増えていくのが不安…」というストレスは小さくありません。治療の選択肢が増えることは、不安を和らげることにつながります。
ワイキャンスは、痛みをできるだけ避けながら積極的に治療したいというニーズにとても合った薬です。「痛いのが怖くてクリニックに行けなかった」というお子さんにも、ぜひ選んでいただける選択肢になればと思っています。水いぼのことで気になることがあれば、お気軽にご受診ください。
診療予約はこちらから
イラスト参照:ワイキャンス®外用液0.71%を使用されるお子さまと保護者の方へ(鳥居薬品)




