成人ワクチン

予防接種といえば、乳幼児期や学童期に受けるものという印象が強いかもしれません。しかし、思春期以降の大人にも、年齢や生活環境、持病の有無などに応じて必要とされるワクチンがあります。

例えば、免疫が弱まってくる高齢の方、持病のある方、妊娠を考えている方、海外渡航を予定されている方、そして過去に接種の機会を逃した方など、それぞれのライフステージや健康状態に応じて、感染症から身を守る手段として予防接種が大切になる場面があります。ご自身だけでなく、大切なご家族や周囲の方々を守るという意味でも、予防接種は確かな役割を果たします。

在庫がなく事前入荷が必要なワクチンや、メーカー製造の問題で出荷調整中のワクチンもありますので、まずはお気軽にご相談下さい。助成については各自治体でも異なるため、お住まいの行政のウェブサイトを一度ご覧になることをお勧めします。

帯状疱疹(水痘帯状疱疹ウイルス)

感染症概要

子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルスが、大人になって再活性化し、神経痛を伴う「帯状疱疹」として発症する。80歳までに約3人に1人が経験し、水疱の消退後も痛みを伴う「帯状疱疹後神経痛」という後遺症に苦しむ方も多い。ワクチンは発症予防のみならず、後遺症の予防効果もある。

ワクチン

生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン)1回接種予防効果:約50〜60%持続期間:約5年
不活化ワクチン(シングリックス)2回接種(2か月間隔)予防効果:90%以上持続期間:少なくとも10年程度

おすすめの方

 50歳以上の方、がんや自己免疫疾患治療中の方、糖尿病など慢性疾患のある方、神経痛の重症化を避けたい方など。

助成

目黒区で接種費用の助成あり(50歳以上対象)
任意 / 定期

当院での価格(助成前価格)

乾燥弱毒生水痘ワクチン8,250円
シングリックス22,000円

麻疹・風疹(MRワクチン)

感染症概要

麻疹

非常に感染力が強いウイルス感染で、高熱や発疹、咳などを引き起こす。重症化すると肺炎や脳炎を合併することもあり、ワクチンによる予防がとても重要。空気感染する。

風疹

発熱や発疹、首のリンパ節の腫れを特徴とするウイルス感染症。妊娠初期の女性が感染すると、胎児に先天性風疹症候群を引き起こすことがあり、特に注意が必要。

ワクチン

MR(麻疹・風疹混合ワクチン)2回接種

おすすめの方

予防接種を2回受けていない方、妊娠希望の女性とそのパートナー、渡航予定者、医療従事者や保育・教育関係者など

助成

 厚労省より昭和37~54年生まれの男性に「第5期定期接種」として無料抗体検査・接種あり
延長期間中目黒区助成

当院での価格(助成前価格)

ミールビック8,800円

おたふくかぜ

感染症概要

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、ムンプスウイルスによる感染症で、耳下腺や顎下腺の腫れ、発熱が特徴。合併症として難聴、髄膜炎、睾丸炎・卵巣炎などを起こすことがあり、特に小児〜若年成人で重症化リスクがある。

ワクチン

おたふくかぜワクチン2回接種予防効果:1回で約80%、2回で約90%

おすすめの方

おたふく未罹患の成人、保育・医療関係者、海外渡航予定者

助成

 任意接種(自費)

当院での価格

おたふくかぜワクチン6,050円

百日咳・破傷風・ジフテリア(3種混合)

感染症概要

ジフテリア

 毒素を産生する細菌による呼吸器感染症で、喉の腫れや呼吸障害を引き起こし、重症化すると命に関わることがある。

百日咳

激しい咳発作を特徴とし、特に6か月未満の乳児では呼吸不全や重症化のリスクが高く、学童や成人でも長期の咳が続くことがある。

破傷風

土壌などに存在する細菌感染により、傷口から神経毒素が作用して筋肉がけいれんし、適切な治療がないと致命的になることがある。

 ※近年はワクチン効果が減弱する学童期の感染が増えており、就学前やDT(2種)ワクチン時接種が勧められている。

ワクチン

DPT(国産)乳幼児・小児の定期接種用
2) Tdap(輸入製剤)成人・思春期が対象、副作用が少ない、追加接種向き、海外渡航時や妊婦に推奨

おすすめの方

 妊娠予定の家庭、医療・保育関係者、破傷風ワクチンは10年ごとの追加推奨

助成

 成人は任意接種(自費)
※小児科学会は就学前の追加接種を推奨し、今後定期化の可能性あり。

当院での価格

トリビック5,500円
ブーストリックス13,200円

日本脳炎

感染症概要

蚊を介して感染するウイルス性の脳炎で、発症すると高熱や意識障害、けいれんなど重い神経症状を引き起こすことがあ
る。特効薬はなく、ワクチン接種による予防(約75〜95%の効果)が重要。

ワクチン

日本脳炎ワクチン4回接種(3回基礎免疫+追加1回)

おすすめの方

 アジア圏へ渡航する方、特に郊外や農作業など屋外活動を伴う方

助成

 成人は任意接種(自費)

当院での価格

ジェービック8,800円

インフルエンザ

感染症概要

毎年冬に流行し、国民の約1割が感染すると言われる。突然の高熱や咳、全身の倦怠感が特徴で、重症化すると肺炎や脳症を合併する。特に高齢者や乳幼児では注意を要し重症化予防効果がある。

ワクチン

インフルエンザワクチン年1回(10月〜2月頃)

おすすめの方

 高齢者、基礎疾患のある方、医療・介護職、妊婦など

助成

 行政ごとに助成額の設定が毎年異なるので要確認

当院での価格

 毎年多少変動あり、当院インフルエンザワクチン特設ページを参照

新型コロナウイルス(COVID-19)

感染症概要

SARS-CoV-2ウイルスによる呼吸器感染症で、発熱、咳、倦怠感などの症状から、重症化すると肺炎や呼吸不全を起こすことがある。飛沫や接触を介して感染しやすく、世界的なパンデミックを引き起こした。

ワクチン

基礎免疫2回+年1回程度の追加接種
(状況により異なる、複数のワクチンがあるため当院採用分について記載)

おすすめの方

 高齢者、基礎疾患のある方、医療・介護職、妊婦など

助成

 厚労省・行政の対応が異なるため都度確認

当院での価格(助成前価格)

コミナティ(ファイザー)16,500円

ヒトパピローマウイルス(HPV)

感染症概要

主に性行為を介して感染し、一部の型は子宮頸がんや中咽頭がん、尖圭コンジローマなどの原因となり得る。

多くは自然に排除されるが、持続感染するとがん化のリスクが高まるため、ワクチンによる予防が重要。

ワクチン

シルガード9:9価ワクチン通常3回接種15歳未満は2回接種
ガーダシル:4価ワクチン3回接種男性の接種希望者

おすすめの方

 キャッチアップ対象女性、がん予防を考える成人男女

助成

 中学生相当女子は定期接種、男子も目黒区助成あり、成人は自費

当院での価格

シルガード927,500円
ガーダシル16,500円

RSウイルス

感染症概要

乳幼児に多くみられ、鼻水や咳、発熱などの軽い風邪症状から、重症化すると細気管支炎や肺炎を引き起こすことがある。特に生後6か月未満や心肺疾患のある乳児、高齢者で重症化しやすく、高齢者や妊婦向けワクチンが開発された。

ワクチン

高齢者用:アレックスビー50歳以上でリスクがあれば接種可
妊婦用:アブリスボ18歳以上で妊娠を含めリスクがあれば接種可

おすすめの方

 60歳以上、アブリスボでは妊娠24~36週の女性で新生児への移行抗体効果を認める

助成

 任意接種(自費)

当院での価格(助成前価格)

アレックスビー27,500円
アブリスボ33,000円

髄膜炎菌

感染症概要

感染すると髄膜炎や敗血症を急速に発症し、数時間〜数日で命に関わることもある。飛沫感染で広がり、特に10〜20代の若年層や渡航者でリスクが高まる。

ワクチン

メンクアッドフィ1回接種85-95%効果約5年有効

おすすめの方

 アフリカ髄膜炎ベルトへの渡航、巡礼、海外での寮生活予定者

助成

任意接種(自費)

当院での価格

メンクアッドフィ24,200円

ポリオ

感染症概要

発熱や倦怠感などの軽い症状から、まれに手足の麻痺や呼吸筋麻痺を起こし、重症化すると命に関わることもある。現在はワクチンによる予防が有効で、世界的に根絶目前だが一部の地域では依然流行がある。

ワクチン

イモバックス日本では4種/5種混合ワクチンに含まれ接種済みの事が多いが、効果も切れやすく必要に応じて追加接種を要する

おすすめの方

過去の接種歴が不明な方、流行地域へ渡航予定の方

助成

 成人は任意接種(自費)

当院での価格(助成前価格)

不活化ポリオ9,900円

肺炎球菌

感染症概要

肺炎をはじめ、敗血症や髄膜炎などの重篤な感染症などを引き起こす。特に65歳以上や基礎疾患のある方では重症化や死亡リスクが高く、ワクチンによる予防が非常に重要。

ワクチン

ニューモバックス(23価)約5年有効

 ※65歳以上ではバクニュバンス(15価)・プレベナー20(20価)との連続接種の推奨あり

おすすめの方

65歳以上、脾臓摘出後、慢性疾患やアルコール依存症、免疫不全疾患や状態の方

助成

65歳時に目黒区助成あり(過去接種歴がない場合)

当院での価格(助成前価格)

ニューモバックス7,700円

A型肝炎

感染症概要

急性肝炎の原因となり、汚染された水や食べ物から経口感染する。通常は一過性で自然に治癒するが、まれに重症化することもあり、衛生環境の悪い地域への渡航時にはワクチン接種が有効となる。

ワクチン

エイムゲン3回接種(0・2-4週・24週後)抗体獲得ほぼ100%約5年有効

おすすめの方

流行地域への渡航予定者、慢性肝疾患のある方や高齢者

助成

任意接種(自費)

当院での価格(助成前価格)

エイムゲン7,700円

B型肝炎

感染症概要

ウイルス性肝炎の原因となり、血液や体液を介して感染して急性肝炎から慢性化・肝硬変・肝がんへ進行することもある。ワクチンによる予防が可能で、医療従事者や感染リスクのある人には接種が推奨される。

ワクチン

ビームゲン3回接種(0・4週・20-24週後)抗体獲得後は約20年以上持続

おすすめの方

 医療従事者・保育介護職、海外渡航予定者、性感染リスクのある方、コンタクトスポーツをされる方

助成

 成人は任意接種(自費)
※医療従事者等は職場が負担する場合があり要確認

当院での価格(助成前価格)

ビームゲン5,500円

破傷風

感染症概要

 破傷風菌は土壌中などに広く存在し、傷口から体内に侵入すると神経毒素を産生し、筋肉のけいれんや呼吸麻痺など重篤な症状を引き起こす。軽い擦り傷でも感染の可能性があり、ワクチンによる予防が唯一の対策となる。

ワクチン

破傷風トキソイド基礎免疫(3回接種)約10年ごとの追加接種で抗体維持

おすすめの方

犬猫による咬傷を含む外傷を受けやすい方、農作業や園芸・山中作業をされる方、海外渡航予定者

助成

 成人は任意接種(自費)
※けがによる受診で緊急的に接種する場合、保険適用されることがある。

当院での価格(助成前価格)

破傷風トキソイド2,200円

狂犬病

感染症概要

狂犬病は、狂犬病ウイルスに感染した動物に咬まれることで発症し、発熱や神経症状から昏睡・死に至る極めて致死率の高い感染症。発症後の有効な治療法はなく、発症前の予防接種と暴露後の適切な接種が唯一の防御手段。

ワクチン

ラビピュール:渡航前(予防接種)0日・7日・21または28日の3回接種
ラビピュール:暴露後(暴露後予防)0日・3日・7日・14日・28日(計5回)

※すでに発症している場合は無効
※暴露後接種のスケジュールにはいくつかのパターンあり
※海外製品との互換性については明言できない

おすすめの方

 狂犬病リスクのある地域(アジア・アフリカ・中南米等)に渡航予定の方、現地で動物と接する可能性がある方(ボランティア・医療者・長期滞在者)、獣医・動物取扱業者

助成

任意接種(自費)
※海外で野生動物・犬に咬まれた場合、保険適用されることがある。

当院での価格(助成前価格)

ラビピュール18,700円